VIDEO-ITを取り巻く市場と技術MPEGラボMXFラボ

TOP

VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年12月27日掲載

第10回 FTTH型CATVの開発 後編

 

■NTTとの料金交渉
NTTにとっても光加入者回線の料金を設定した経験がなく非常に苦労していました。一度決めると料金は一人歩きし、なかなか再設定が難しいということもあり、なおさら慎重になっていました。NTTの料金設定は電話料金が基本にあり、どうしても日本全国均一つまりユニバーサルサービスの考え方から逸脱できませんでした。

当初NTTはこの地域で発生する設備コストをベースに回線料金を提示してきました。予想通り非常に高い金額でCATV事業者にとってはるか採算がとれるものではありませんでした。その後約半年間かけて価格交渉が行なわれました。我々もできる限り知恵を絞り代案を提示していきました。例えば光ファイバー一本の中には映像(1.55μm)と通信(1.3μm)が同居しており、CATV事業者が占有するのは映像の部分だけなのでコストを分離することなどです。NTTからの回答ではなかなか価格が下がらないので、我々は標準のCATV事業者をモデルとし収支計算を行い、これにもとづき仮想的な加入者回線料金を算出し、提示することにしました。従来型CATVの伝送路設備の償却費用(円/加入者・月)を算出し、それをバランスさせるためのFTTH回線料金を計算すると1,300円をきる金額が導き出されました。算出プロセスが明確であったために非常に説得力があり、NTTは以後これを尊重した価格決定に入り決着することができました。

      FTTH回線料金
図1:FTTH回線借用料

電話局単位で加入者数と料金の関係は以下となります。

5

ただしa1,a2,a3は1加入あたりの回線料金で、a1a2a3, xが3,000、a1が1,300円でした。
NTTの考えは加入者が少ない間は光ファイバー敷設等に関わる固定費が高くつくのでx1の固定料金を請求し、それ以後は加入者数が一定数を超えるごとに1加入あたりの回線料金を下げて、平均値で1加入当たり目標の1,300円以下にしようとしました。CATV事業者はFTTH回線を借用して運営する場合、早期にx1の加入者までこぎつけないと出費がかさむことになります。それ以降は加入者を多くとれば利益を出しやすくなります。現在NTTが提供している光フレッツの値段と直接比較することは無理がありますが、月額5,200円ですからこの内の約1/4(1,300円)が映像伝送への負担相当と言えます。

 

<< 1 2 3

4

5

(コラム記事/ (株)アイ・ビー・イー 坂井 裕)

製品・システム・技術に関するお問い合わせ