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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年7月5日掲載

第2回 ニューメディア編集配信システム

1984年当時"ニューメディア"という言葉が流行していました。デジタルネットワークの普及にともない様々な形態の情報を扱うことが可能になると予想され、それを総称して"ニューメディア"と呼んでいました。具体的にはCATV、CAPTAIN、ハイビジョン、TV会議などの製品やシステムを扱っていました。後にマルチメディアという言葉に代わっていったと思います。
  新聞社では新聞情報を番組として編集し、各ニューメディアセンタに情報を配信するサービスを考えるようになりました。日立は読売新聞社からこのセンタの開発を受託し私もSEとして参画することになりました。各メディアセンタはメディアの特性から情報の扱いが異なっていましたが、個々のメディアに対応していたのでは膨大な設備が必要になると考えられました。そこで新聞社は業務効率の観点から素材はできるだけ一元管理し、メディアへの変換部分は最小限にするシステムを導入しようとしました。具体的な配信先はキャプテン情報センタ、テリドンセンタ、CATV局、民間放送局、パーソナルコンピュータネットワークセンタなどでした。テリドンはキャプテンと似た文字、図形表現のNPLPS方式で情報サービスをしていました。システムは新聞情報や独自の情報を、内外のニュース、スポーツニュース、写真ニュースなどの番組に編集し送出していました。

図1:「サミットシステム機能概要」
各種ニューメディアに対し、新聞情報など多様な情報を一括効率的に入力・編集して配信する。
<出典> 日立評論 Vol.67 No.5 (1985.5) 『ニューメディア編集配信システム』

このシステム建設にあたり顧客から縦書き表示のディスプレイ開発の強い要求がありました。新聞紙面から考えると縦書きは当然のことであり、横書きに比べると断然読み易いという主張でした。そこで一時期試作品を提供することにしました。

システムが導入され運用が始まると現場の入力装置に配置されたのはほとんどが高齢の熟練した編集出身の方々でした。彼らは新聞原稿を読みながらほとんどリアルタイムで記事をリライトしてゆきます。長い文章も画面の文字制限に入るように文章を書き換えてゆくのです。例えば1,000文字の内容を80文字に書き換える、などです。見ていると実に要領のいい的を射た文章に変換されているので感動してしまいました。語学力、漢字能力はもとより社会常識、歴史知識をふんだんに活用しながら作業していました。ここが熟練の編集の方々の能力が発揮される場であることがよくわかりました。
当時は文字情報を配信するだけでもこのような大きな設備が必要でした。今ならインターネットでHTMLを使い簡単にシステムを組むことができますが、当時は標準がなく、手作りでシステムを組み上げることが必要でした。

写真1:「画面の例
左:CM1行の付いた画面例  画面の最下行をCM(コマーシャルメッセージ)としている。
右:文字画面の例  読みやすさを配慮し、同一サイズの文字を使用している。
<出典> 日立評論 Vol.67 No.5 (1985.5) 『ニューメディア編集配信システム』

 

(コラム記事/ (株)アイ・ビー・イー 坂井 裕)

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