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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年6月21日掲載

第1回 TV会議システムの導入

1982年頃、日立でも幹部の間でTV会議システムを社内で導入したらどうかとの話が持ち上がりました。日立は日本全国に多くの事業所を持っていましたので、社内打ち合わせのために従業員が使う旅費が膨大になっていました。TV会議で旅費の削減ができるのではないかと考えたわけです。幹部から私の部署にTV会議導入の検討依頼が来ました。早速技術調査や見積をやり社内導入の計画を作りました。結局最初は本社の御茶ノ水と茨城県の工場間に導入することに決まり早速導入の作業に入りました。

図1:「テレビ会議システム構成」
テレビ会議用回線として,日本電信電話 株式会社のテレビ会議サービスを使用している。
<出典>「日立評論 Vol.67 No.5 (1985.5) 『日立テレビ会議システム』」

我々はテレビ、カメラ、書画カメラ、マイク、スピーカ、会議卓など会議室の設備を用意し、一方、日本電信電話株式会社( 以下、NTT )は回線、終端装置、コーデックなどを準備してもらうことになりました。当時まだTV会議の需要は少なかったので、NTTからは予約型のサービスを提供されました。つまりTV会議をやるときにはあらかじめNTTに電話で予約し、その時間になると回線を開いてくれるのです。しかし終わりも決めてあるので時間が来ると自動的にTV会議は終了してしまいます。NTTのテレビ会議サービスの回路は6.3Mbpsで、画像コーデックの能力は確か768Kbpsか1.5Mbpsだったと思います。導入するにあたり導入効果をどう出すかは結構悩みました。出張の実績から出張旅費を算出し何割がTV会議で代替できるかを見積もり評価しましたが、NTTのTV会議サービスの値段も高くなかなか回収効率が上がりませんでした。最終的には新しい技術を自ら導入しているという企業イメージアップも兼ねるということで決裁されました。

写真1:「日立製作所本社テレビ会議室」
日立製作所本社(東京・神田駿河台)とエ場(茨城県・日立市)を結んで会議を行なう。
本図は本社側テレビ会議室を示す。
<出典>「日立評論 Vol.67 No.5 (1985.5) 『日立テレビ会議システム』」

実際には担当者は社内打ち合わせが終わると仲間達と飲むことが多く、いわゆる“飲みニケーション”がないと寂しいという声も多く利用頻度は上がりませんでした。一方幹部は忙しくなかなか出張が出来ないので、TV会議で工場の幹部を呼んで話が出来るのは便利だということで利用するケースが増えました。

 これを皮切りに社内でTV会議システムの導入も進んだ一方、日立でも独自のTV会議システムを製品化し販売しようということになりました。やはりキーコンポーネントは画像コーデックで、早速研究所と開発の検討を始めました。まもなく画像コーデックの性能は激しい競争になり、毎日のように各社の成果が新聞紙上を賑わせるようになりました。

 当時TV会議システムは画像コーデックがまだ高価なこともあり、確かシステムでは1,000万円以上したように記憶しています。TV会議専用の部屋を用意し会議室としての調度品も揃えるという、今から考えると随分贅沢な用意をしていたものだと思っています。

(コラム記事/ (株)アイ・ビー・イー 坂井 裕)

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