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2005年1月号掲載

第24回 デジタル家電とPCをつなぐネットワーク規格「DLNA」の仕組み

デジタル家電とPCをつなぐ「DLNA」規格が実用化され、実際に使える形になってきた。DVD/HDDレコーダなどに記録されたコンテンツをPCで見る、もしくはPC上のコンテンツをテレビで見る、といった使い方をメーカーの違いを超えて家庭内LAN上で実現するというコンセプトだ。

最近のデジタルAV家電にはEthernetコネクタやIEEE1394コネクタを標準装備する製品が増えてきている。しかし、これらのコネクタ同士を接続しても、お互いの機器が内部に持つコンテンツを共有することはまずできない。IEEE1394の場合は「AVCプロトコル」という標準プロトコルが規定されており、別の機器から再生、停止の制御が可能だ。だが、これは基本的にはビデオテープレコーダ(VTR)の制御をするもので、別の機器の内部にあるコンテンツを検索して再生するといったことは想定していない。

こうした問題を解決する技術が開発されつつある。その中でも注目すべきものが「DLNA(Digital Living Network Alliance)」が2004年6月に定めた規格「Home Networked Device Interoperability Guidelines v1.0」だ(図1)。

■シームレスなコンテンツの再生環境を目指すDLNA

DLNAは、家庭内のLANを使い、デジタル家電やPC、PDA(携帯情報端末)などを相互接続するための規格を策定する団体だ。2003年6月に「DHWG(Digital Home Working Group)」として設立された組織が、2004年6月にDLNAと名前を変え、Intelとソニーが主導する形で規格の策定を進めてきた。
2004年10月に幕張で開催された「CEATEC JAPAN 2004」などで、いくつかの家電メーカーからDLNAのガイドラインに沿った具体的な実装例が発表された。例えば、松下電器産業はHDDビデオレコーダ「DIGAシリーズ」で録画したコンテンツを、PCからアクセスして再生するデモンストレーションを行った。ソニーはネットワーク経由でAV機器とVAIOをつなぐ「ルームリンク」にDLNAを採用した試作機を展示していた。

AV機器がDLNAに対応すると、冒頭に説明したように、DVDレコーダなどに記録されたMPEG-2映像コンテンツをPCで見られるようになる。また逆にPC上のMPEG-2映像コンテンツ、デジカメで撮影したJPEGコンテンツをテレビで見る、といった使い方も可能になる。

DLNAでは、機器はサーバとクライアントに役割が分かれる。既に単体でこうした機能を実現する製品はいくつかあるが、各社の対応製品が連携可能になる、とういう点が新しい。DLNAではサーバ上のコンテンツをクライアントで再生するのが基本スタイルだ。同じサーバに複数のクライアントが同時にアクセスできる。

■DiXiMで実現されるPCとAV機器の連携

CEATECではPCでDLNAの機能を使えるソフトウェアが展示された。デジオンの「DiXiMマルチメディア・ホームネットワーク・スターターパック」だ。2004年11月に9800円で発売された。もともと「DiXiM」は、PCに限らないDLNAの機能を実現するためのソフトウェアで、情報家電やメーカー製のPCに搭載されてきた(図2)。今回登場するPC用パッケージを使うと、自作PCからでも、今回登場するDLNA対応機器とのデータのやり取りが可能になる。

では、DiXiMはどのような形で動作するのだろうか。PC上でDiXiMを起動すると図3左の起動メニューが表示される。起動メニューには、検索・再生したいコンテンツの種類を示すアイコンが並ぶ。左から、ビデオ、オーディオ、静止画だ。コンテンツの種類を選択すると、右の画面に変わり、「アルバム」、「ジャンル」。「年月日」といった検索方法を指定する。するとDiXiMはネットワーク上に接続されているDLNA対応サーバ機能を持つ機器を順次検索し、対応コンテンツを一覧表示する。

このとき、DiXiMはコンテンツがどの機器にあるかを意識させない形で一元表示する。あとはコンテンツ一覧から、見たいコンテンツを選択すれば、映像が再生される。逆にDiXiMのサーバ機能をPCにインストールすると、今度はDLNAに対応した家電製品からPCの中にあるコンテンツを再生できるようになる。

では、DLNAではどういった仕掛けでコンテンツを共有し再生できるか、もう少し詳しく見てみよう。

まず機器やPC同士が、DLNAに対応する機器がLAN上に存在するかどうかを調べる必要がある。技術的にはDLNA対応機器のIPアドレスをユーザーが手動登録するのが楽だが、ユーザーの設定操作は面倒だ。これを解決するために、DLNAではUPnPという-技術を使う(UPnPの詳細はhttp://www.upnp.org/を参照)。UPnPは、IPネットワーク上でさまざまなデバイスを連携させて使うためのプロトコルで、デバイスの追加や制御を動的にかつ容易に行うための仕組みだ。

UPnPでは、機器へのIPアドレスの割り当てはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を使う。家庭内LANにDHCPサーバがないような時はAutoIP機能でアドレスを自動発行する。

UPnPでは、クライアント(UPnPでは、コントロールポイントと呼ばれる)が起動するとネットワーク上にマルチキャストパケットを出し、どんな機器がネットワークに接続されているかを調べる。既に起動しているサーバは、これに応答し、自分がどんな機能を持つかをクライアント側に知らせる。DLNA対応か、映像を配信する機能を持っているか、などがこれで分かる。コンテンツ情報などの取得や実際の配信制御には「UPnP AV」の機能を使う。

■JPEGやMPEG-2データをHTTPプロトコルで伝送

DLNAで相互にやり取りする画像や映像の形式は標準的なものが採用されている。具体的には、画像はJPEG、映像はMPEG-2、音声はリニアPCM(非圧縮)が標準のメディアフォーマットとして決められている。DiXiMは、さらにWindows Media Video、Windows Media Audio、MP3などにも対応している。

MPEG-2ファイルを再生する場合、DLNAサーバからDLNAクライアントにMPEG-2データのまま伝送する。伝送にはHTTPプロトコルを使う。クライアントではハードディスクに蓄積せずに、すぐに送られてきたMPEG-2を再生する。PCでMPEG-2を再生するにはデコーダソフトが別途必要だ。DiXiMではDVDプレーヤーソフトに内蔵されているDirectShow対応のMPEG-2デコーダや、DiXiMパッケージ付属のMPEG-2デコーダを使う。

このようにDLNA対応機器やPCを組み合わせると、シンプルながら便利な環境が実現する。現在のDLNA規格では、暗号化された映像を取り扱えないという問題が残っているが、DLNA規格の強化作業は精力的に進んでおり、将来は暗号化された映像も取り扱えるようになるだろう。特に録画されたデジタル放送コンテンツがこの仕組みで再生できるようになるかどうか、非常に興味深いところだ。

図1 DLNA(Digital Living Network Alliance:http://www.dlna.org/)が推進するホームネットワークの姿。各機器がDLNA規格に対応することで、家庭内にある異なるメーカーのAV機器を相互接続し、リビングで書斎のPCのコンテンツを見たり、書斎でリビングのDVD/HDDレコーダのコンテンツを見たりできるようになる。

図2 デジオンの「DiXiM」はDLNAを表現するためのソフトウェアだ。デジタルAV機器などにDiXiMをミドルウェアの形で搭載すれば、DLNAに必要な機能を比較的簡単に作れる。2004年11月にはPC用のパッケージも発売された。

図3 DiXiMのスタート画面(左)とビデオの検索方法を指定する画面(右)。スタート画面で「ビデオ」のアイコンを選択すると、検索方法を指定する画面が表示される。ここで、アルバムを選ぶと、LAN内にある対応機器のアルバムを一覧表示する。どこにコンテンツがあるか、あまり意識しなくてよい仕組みになっている。

(文/ 竹松 昇、(株)朋栄アイ・ビー・イー) ※編集の関係上、雑誌掲載内容と少し異なる個所があります。

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