私とマルチメディアVIDEO-ITを取り巻く市場と技術MXFラボ

TOP
TOP > MPEGラボ > 第15回

WinPCLabs これでわかった!動画の秘密“MPEG”

2002年11月号掲載

第15回 RealPlayerの新サーバ"Helix Platform"の仕組み

米RealNetworksが発表した「Helix Universal Server」の最大のポイントは、従来のRealVideo(RealMedia)、QuickTimeのフォーマット以外の配信もサポートしたことだ。Helixからは、Windows MediaやMPEG-1、MPEG-2、MPEG-4の配信も可能となった。従来、RealVideoとWindows Media両方の配信サービスをするためには、サーバを2つ用意する必要があった。Helixを使うと、1台のサーバで両方のフォーマットの配信が可能となる。システム構築コストや運用コストの削減に貢献しそうだ。

また、社内ビデオ配信や構内ビデオ配信にHelixを利用する場合、LANで接続されている範囲はMPEGで配信、社外や構外に対してはRealVideoで配信する、といったシステムも構築できる。

Helixは、位置付けとしては「RealSystem Server Ver.8」の後継製品であり、その「Ver.9」に相当する。Helixは、Ver.8の機能を基本的に継承しており、複数サーバ構成や大規模配信向けの機能を強化している。コンテンツ配信を受信するユーザー側から見た分かりやすいメリットが少ないが、より多彩なサービスが今後増えるきっかけの1つになるといえる。

■大規模配信サーバの構築を意識した新機能

以下、Helixの特徴を簡単に説明する。

(1)ユニバーサルプラットフォーム
先に書いたように、多様なファイルフォーマットの配信ができるようになった。

(2)マルチプラットフォーム
RealServerの時代から、多様なOS上で動作している。Helixでは、Linux、Windows、Solaris、HP-UX、AIXなど11種類を超えるプラットフォームをサポートしている。大規模な配信サーバを構築するる場合、Unixプラットフォームを使うことがまだ多い。マルチプロセッサーなど大規模な構成のサーバを構築しやすいためだ。Helixは上記のように各種Unixプラットフォームをサポートしている。

(3)冗長サーバ構成
配信されたビデオをプレーヤーで再生中に、何らかの原因でサーバとプレーヤーの接続が切れてしまった場合、自動的に他の予備サーバに接続し直す機能。このとき、予備サーバに切り替わったことを気づかせることなく、それまで見ていたシーンが再開される。ただし、この機能はプレーヤーに「Real One Player」を使っている場合だけ有効。ライブ配信時にも使える機能なため、より信頼性の高いライブ配信が実現できる。
このようにサーバを2重化するだけでなく、配信経路、ゲートウェイ、エンコーダなども2重化できる。エンコーダとサーバを両方2重化した場合、それぞれ片方が動かなくなる事故があった場合でも、どちらか動作している方を組み合わせて運用を継続することができる。

(4)多様な配信ネットワークに対応
HelixはLANやインターネット以外の配信ネットワーク、例えば無線や衛星のようなネットワークに対応するように拡張できる。今回から、中継サーバ機能が組み込まれた。最初に中継サーバに対して、プレーヤーからの配信要求が出る。中継サーバ上にそのコンテンツが存在しない場合、中継サーバは親サーバに配信要求を出す。親サーバは該当コンテンツを中継サーバに返し、中継サーバはプレーヤーにむけて配信する。

(5)サーバの高性能化
前バージョンおよび従来のWindows Media Service(配信サーバ機能)と比較して、高性能な配信性能を実現している。例えば、最近ではネットワーク上に大規模ファイルサーバを設置し、配信サーバはLAN経由で大規模ファイルサーバに接続、そこから配信すべきストリームをいったん受信する形が増えてきている。このようにネットワーク接続されたサーバ間でのファイル読み込み性能が向上した。一連の高速化について、Windows Mediaの新サーバ「Corona」と比較してどちらが配信能力が高いかは、今後ぜひ検証してみたい点だ。

(6)擬似ライブ機能
あらかじめ蓄積しておいたRealVideoファイルやそのほかのファイルを、視聴者から見てライブ配信になるように配信することができる。プレイリスト機能を合わせることによって、リスティングされたファイルを順次あるいはランダムにライブ配信サービスを提供することもできる。番組を順番に並べて、この方法で配信することで、いわゆる放送局スタイルの配信ができる。

■仲間作りのためにソース公開に踏み切る

RealNetworksは、Helixの発表と併せて、HelixのソースコードをオープンソースとしてHelix Communityから提供することを発表した。これにより、Helixに関するほとんどのソースコードを無償で参照できるようになる。ただし、Helixを商用配信利用する場合、無償で利用できるわけではない。では、このオープンソース化はどういう意味を持つのだろうか。

今回、オープンソースという意味では2つのライセンス形態がアナウンスされた。

・RPSL (RealNetworks Public Source License)
RPSLは、GNUの「Copyleft」に倣った配布形態。RPSLでは、改変や追加したソースコードを公開しなくてはならない。

・RCSL (RealNetworks Community Source License)
RCSLは、商用アプリケーション開発を意識した新しいライセンス形態。改変や追加したソースコードは「コミュニティー」内で公開する必要がある。ただし、上位システムやHelixのソースコードを含まない場合は公開する必要はない。

RealNetworksの狙いは「コミュニティー作り」つまり「仲間作り」にある。Helix用のオプションソフトやHelixを使ったシステムの開発を促進するために、ソースコードをオープンにするというものだ。ソースコードをオープンにすることで、各社はHelix関連ソフトの開発に取り組みやすくなる。特にRCSLという契約形態を用意することで、企業がHelixと連携するソフトウェアの開発を進めやすくしている。こういったライセンス条件のもと、9月以降オープン化が進む。

すべてのソースコードを積み上げると、数百万行に達すると言われている。このような膨大な技術資産をベースに、各社が新たな技術を追加することで、最強の配信環境を育てようという狙いがある。

オープンソース化についての詳しい情報は、http://www.helixcommunity.org/で入手することができる。

●Helixのソフトウェアスタック

図1 上の3段がHelixサーバ、下の2段はRealNetworksかサードパーティーが開発する部分だ。

 

(文/ 竹松 昇、(株)朋栄アイ・ビー・イー) ※編集の関係上、雑誌掲載内容と少し異なる個所があります。
このテーマを製品化すると Multi Video Processor Pro
Internet Video Processor Publish Edition
製品・システム・技術に関するお問い合わせ