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WinPCLabs これでわかった!動画の秘密“MPEG”

2002年2月号掲載

第7回 知っているようで知らないWindowsMediaテクノロジー

Windows Mediaテクノロジーとは、デジタルメディアを作成・配信・再生および著作権管理のためのプラットフォームだ。ブロードバンド化の流れの中で、Windowsをはじめとするマイクロソフトの製品群の価値を高めるための戦略的な技術である。

Windows Mediaテクノロジーは、幅広い技術の集合で、いくつかのカテゴリーに分かれる。これらのカテゴリーは関連しているが、それぞれ単独な技術。ほかの技術と組み合わせ可能なものもある。以下、カテゴリーごとに簡単に解説する。表1も参照してほしい。

まず、データフォーマットに関して説明が必要なのは「Windows Media形式」の意味と内容だ。Windows Media形式と言うと、一般には、表1のデータフォーマットとコーデックを使った、ビデオやオーディオのファイルやストリームを指す。データフォーマットはバージョンにかかわらず、ASF(Advanced Streaming Format)で統一されている。ASFは、もともとWindows Mediaの前身であるNetShow時代に開発されたフォーマットで、マイクロソフト独自のものだ。名前の通り、ストリーミング向けに工夫されている。フォーマットとしてはAVIの代わりになるくらいの機能を持つ。

よくある勘違いは、ファイル名の拡張子にまつわるものだろう。Windows Media形式のファイルの拡張子としては、“ASF”や“WMV”が使われる。実は、これらはファイルとしては全く同じものだ。区別しやすいように拡張子を変更しているだけである。Windows Media形式は、音声のみの場合(音楽配信など)と、ビデオ+音声の場合の両方があり、どちらもASFだと区別できない。このため、音声のみのファイルを“WMA”、ビデオ+音声ファイルを“WMV”という拡張子にして区別している。

■格段の進化を遂げたコーデック技術

ASFフォーマット自体は、コーデックに依存しない。Windows Mediaで規定されていないコーデックを使うこともあり得るし、新たなコーデックの追加もできる。

コーデックは、映像・音声の圧縮・伸長のためのモジュールや圧縮技術の総称だ。「(en)coder」と「decoder」を合わせた略語が語源となっている。Windows Mediaテクノロジーのコーデックはバージョンが上がるのに合わせて改良されてきた。数年前にリリースされた「Microsoft MPEG-4 v3」と最新の「Windows Media Video v8」の画質を比較すると、かなり違いがある。

これらのコーデックは、後述するプレーヤーやエンコーダの中に組み込まれて動作するため、普段意識することはあまりない。

通常のインターネットビデオストリーミング用には、Windows Media Videoのv7やv8が使われる。配信する先が携帯電話などの場合、国際規格互換のISO MPEG-4 v1が使われることが多い。Windows Media Videoはマイクロソフト独自のものであるため、他社製品、特に携帯電話用に開発されたLSIの多くがサポートしているMPEG-4 Videoとの互換性がない。注意が必要なのは、ISO MEPG-4 v1を使った場合でも、国際規格準拠のMPEG-4とはならない点だ。ビデオの規格のみを合わせても、オーディオやシステムなど他のレイヤーの互換性が取れない

■Media Player6.4はHDDの中に隠されている

プレーヤーというカテゴリーは、よく知られたWindows Media Playerが該当する。Windows Media Playerは、Windows Mediaテクノロジーで規定されたファイルのほか、MPEGファイルやWAVファイルなどを統一的に再生するためのソフトなどとして設計されている。

DirectX/DirectShowアーキテクチャを使っており、コーデックはプラグイン形式で自由に差し替えできる。ファイル再生、ネットワークからの受信などのモジュールもプラグイン形式で差し替えできる。<

現在、Windows Media Playerは、Ver.6.4、7.0、7.1やfor XPなどが使われている。6.4以降では、そのPC上にないコーデックを使ったファイルを再生しようとすると、インターネット上から必要なコーデックを自動ダウンロードする機能がある。このため、多くの場合はプーイヤーのバージョンに関係なく再生できる。時々、7.0以降でしか再生できないファイルが存在する。ビデオのコーデックにWindows Media Video v8を使っており、かつVBR(可変ビットレート)でエンコードしたものがこれに該当する。また、後述するように著作権保護技術である、Windows Media Rights Managerのv7で暗号化したファイルはVer.6.4のプレイヤーでは再生できない。

Windows Media Player Ver.7は、Ver.6.4と比較すると内部的にも外見上も大きく変更されている。全く新しく開発したものといってよい。Ver.7のほうが高機能だが、自由度が失われている部分もあり、Ver.6.4のほうが便利なこともある。Ver.7以降をインストールすると、自動的にVer.6.4もインストールされるため、使い分けてもよい。

Windows Media Encoderは、Windows Media形式のファイルを作るための標準的なソフトウェアだ。今や、Windows Media形式のファイルを出力するソフトはいろいろあるため、Windows Media Encoderを使わずに制作する場合も多い。

エンコーダはプレーヤーと異なり、古いバージョンや古いソフトでは新しいコーデックに対応できない点に注意したい。最新のWindows Media Video v8コーデックを使う場合、Windows Media Encoder Ver.7.1やWindows Media 8 Encoding Utilityが必要となる。Windows Media Encoder Ver.7.1なら表1のビデオのコーデックは、どれでも使うことができる。

■無償入手できる配信機能Windows Mediaサーバ

インターネットやイントラネットで配信したい場合のサーバソフトとしてWindows Media Serviceが用意されている。俗にWindows Mediaサーバと呼ばれる。Windows Media Serviceは、まだVer.4.1しか存在しない。理由は不明だが、Ver.4.1のサーバを使ってVer.7の配信が十分できるためであろう。NT4.0サーバ用のものは無償ダウンロードできる。Windows 2000サーバには標準で付属する。

Windows Media Serviceは、独自の配信プロトコル(MMS)を使う。MMSプロトコルはUDP、TCP、HTTPを下位プロトコルとして使用する。ストリーミング配信にはUDPの効率が良いが、ファイアーウォールなどでUDPパケットが届かない場合、自動的にTCPやHTTPに切り替わる。

このほかにもWindows Mediaテクノロジーの大きな要素の1つに著作権管理技術がある。ビデオやオーディオのファイルを暗号化し、途中で盗まれないように安全にプレーヤーまで送り届ける技術だ(2001年10月号の本連載を参照)。

以上、駆け足で説明してきたように、Windows Mediaテクノロジーは数多くの個別技術を組み合わせたものだ。それぞれの技術の概要を理解することで、使いこなしの幅が広がる。

●表1:Windows Media テクノロジーのカテゴリー分類と製品

  Windows Media
テクノロジーVer.4
Windows Media
テクノロジーVer.7
Ver.7以降
プレイヤー ・Windows Media Player 6.4
・Player for Mac 6.3
・Player for Solaris 6.3
・Player Plugin for Netscape
Windows Media Player7
Windows Media Player7.1
Player for Mac 7
・Player for Mac 7.01
・Player for PocketPC 7.1
・Media Player for XP
エンコーダ ・Windows Media Encoder 4
・Windows Media Tools
Windows Media
 On-Demand Producer
Windows Media Encoder7
Windows Media Encoder7.1
・Windows Media Resource Kit
・Microsoft Producer
・Movie Maker 1.0
Windows Media 8
 Encoding Utility

・Movie Maker 1.1
・Movie Maker 1.2
配信 ・Windows Media Service 4.1
著作権管理 ・Windows Media
 Rights Manager v1
・Windows Media Rights Manager 7 SDK
コーデック ・Microsoft MPEG-4 v3
・Microsoft Audio v2
・Windows Media Video v7
・Windows Media Audio v7
・ISO MPEG-4 v1
・CELP
・Windows MediaVideo v8
・Windows MediaAudio v8
データ
フォーマット
・ASF(Advanced Streaming Format)(製品ではない)

※太字の部分は、現在マイクロソフトのWebサイトから無償でダウンロードできる。

(文/ 竹松 昇、(株)朋栄アイ・ビー・イー) ※編集の関係上、雑誌掲載内容と少し異なる個所があります。

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